●多摩川会という、「川崎市内選出の県会議員で構成する会」があります。川崎市からの予算要望に連携したり、川崎に関わる視察なども行っています。
今回は、インクルーシブ実践校の実態についての調査で、県立川崎北高校を訪れました。高台にあるため、街並みが見渡せます。
●インクルーシブ教育実践推進校とは、「共生社会をめざして、知的障がいのある生徒が高校で学ぶ機会を広げながら、互いの理解を深めながら成長していく」ことをめざすとされています。現在は県内14校、川崎市内では1校です。
特別募集の対象となるのは、知的障がいがあり、かつ学級集団での学習及び生活が可能、自力通学が可能などの条件を満たす生徒です。
現在は各クラスに2~3人特別募集枠の生徒がいます。
●教室内では、どこに特別募集の生徒がいるかは、もちろんわかりません。各クラスを一渡り回りましたが、科目やそのタイミングによりますから、クラスの雰囲気が伝わる程度で、一概に評価はできません。インクルーシブの状況把握はやはり、難しいなと思いました。
但し、数人の生徒を対象とした取り出し授業が行われている教室が一つだけありました。
取り出し授業というのは、一定の配慮を必要とする科目について、特別枠の生徒に対して行う授業を指します。
●校長先生初め先生たちとの懇談の中では、私は、以前から課題と考えていた次の質問をしました。
*特別募集で入学したことは、他の生徒には明らかにされていないと聞いているが、その実態は?
校長「特別の説明はしていない」との答え。
(その存在が意識されていなければ、そもそも障害に関わる共生という目的も叶わないのではないかと、私は常々思っているのですが)
*取り出し授業が行われていたが、ここにいつも数人の生徒が行くとなると、どういう事情か分かるのではないか?
校長「選択授業などもあるから気にしていないと思う」
(フーン、そうかなあと思いながら聞きました)
*以前から保護者の意見などを聞いているが、問題点の一つとして語られるのが、「互いに理解し合うというインクルーシブの意義はあるとしても、一方で障がい当事者の発達保障という点ではどうなのか。どのような支援が得られているのか」という点。これについてはどう考えるか?
校長「全体から学んでいるはず。共に学ぶことで得られるものがあると考えている」との答え。
(全体から学ぶという点は否定しないけれど、これだけでは弱いなと思いながら聞きました。インクルーシブ実践校のある先生からは、障がいのある生徒に必要なキャリア教育や進路相談、就職支援が弱くなり、悩ましいという声を伺っています。まさにこの問題です。特別支援学校なら受けられる支援がインクルーシブという目的にくくられ、なされていないという事になりかねません)
●他会派の議員も多くいましたし、あまり私の問題意識のみに時間をとる訳にも行かず、疑問は残りつつも、また他の問題点も多くありましたが、質問はここでとどめました。
もっと現場でご苦労されている率直な声や評価を伺いたいものです。
でも多摩川会としてこの視察を行ったことについては、意義ある事だと思います。幹事の小川議員に感謝です。(2021.12.21)