● 「日の丸街宣倶楽部」*1をやっている人物が、武蔵小杉で街頭宣伝を行うとの告知がありました。
告知は、泉水隆一監督作品「凛として愛」周知活動と称し、「川崎を取り戻す!日本を取り戻す!」とうたっています。
この告知をした人物は、川崎市長選挙にも出馬したいと語っています。
● 私たちは、武蔵小杉駅中央口2で共産党として「ヘイトスピーチ許さない」の宣伝を行いました。はたの君江衆院議員も駆けつけ、おおば裕子市議・市古次郎市議もそれぞれ訴えました。
私は「この地で暮らす人たちが、地域を形成して、それぞれのつながりを大事にして暮らしている。そこにずかずかと乗り込み差別を扇動することは、誰の幸せも生み出さない。法や条例の趣旨を踏まえ、一人一人の人権が尊重される町にしよう」と訴えました。
このような場面でいつも思うのは、戦前、強制的に日本に連行された朝鮮半島の人々のことです。どんな苦しみや不当な扱いを強制されたか計り知れません。その中でこの地に住み、子や孫に繋がれた命。その命に対し、「日本から出て行け」とは何事か! 川崎区のヘイト反対の集会で絞り出すように訴えたオモニの言葉が忘れられません「私達が、何をしたというのか! 何も悪いことはしていない!」
● バスロータリーを挟んだ少し離れたところで、彼らは数人、その周りを警官が取り囲み、さらにその外側にヘイトに反対する人たちが数十人という格好です。
このヘイトスピーチに関わり、問題になる一つが過剰警備です。2016年法制定時平和公園近くで行われた際には、数百人の警官が壁のように立ちはだかり、装甲車が何十台も連なりました(この直後に本会議で過剰警備をただす質問をしました)。
最近の川崎駅頭でも、私服警官、制服の警官が並び立ち、明らかに異様な光景でしたが、この日は、制服は見られず、規模も抑制されていたと思います。
● 2016年に「ヘイトスピーチ解消法」が施行されましたが、この法は理念法であり、明確な禁止事項や罰則はありません。
次いで川崎市は、全ての市民が差別を受けることなく、個人として尊重される街をめざすとして「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を制定しました。一定の要件の下でヘイトスピーチを禁止し刑事罰科すことを定め、2020年から施行されています。
刑事罰に相当する類型として次の3つを掲げています。
*居住地域からの退去を扇動
*身体・名誉・財産に危害を加える扇動
*人以外のものに例えるなど著しく侮辱する扇動
条例制定後、それまでの「日本から出ていけ」「死ね」「ごきぶり」などの明確な刑事罰相当の言葉は使わなくなりましたが、巧みに差別や憎悪をあおる言動は続いています。また、ネットでの攻撃は強まり、街宣を行う場所も拡散しています。9月5日には川崎・相模原で行っていますし、この日も武蔵小杉の後は、溝ノ口で行っています。
民族など特定の属性を理由として、差別的行動を煽り、侮辱的な言葉を浴びせかけることはまさに暴力です。どんなに対象となった人々を恐怖に陥れ、傷を残すか。
私はヘイターの憎悪に満ちた言葉や偏見がどこから生まれるのか、本当に不思議です。(2021.9.12)
*1) 「日の丸街宣倶楽部」 。