●今回のオリンピックは、コロナとの関連で語ることが多かったのですが、その問題を抜きにしても、かつてないほどオリンピックの問題点があからさまになっています。
沢山あるのですが、三点に限って。
●その1 どのように選ばれているのか
関係者にあまりにも、差別・人間性喪失・命軽視等の言動が多いことに驚きを覚えています。あの森発言、女性の体格を揶揄した佐々木宏氏、小山田圭吾氏の口にするのもおぞましい壮絶ないじめ、さらに絵本作家のぶみ氏の過去の素行、小林賢太郎氏のユダヤ人大量虐殺を「ホロコーストごっこ」と言い放った神経。
関係者にこのような人物が群がっているのは単なる偶然か? 誰がどのような基準で選んでいるのか? 限られた人脈の中で選ばれてはいないのか?など、の疑問が次々と浮かびます。
組織委員会自体は一法人だとはいえ、オリンピックは、多額の税金が使われ多くの国民を巻き込みます。公正性と国民における納得感は当然ながら求められます。
●その2 開催の時期など
無観客で本当に良かったと思わせるのがこの暑さ。有観客ならば、救急車が駆け回らざるを得なかったでしょう。最近の日本の暑さは危険領域だし、さらにマスクをしながらの観戦はリスクを増大させますから。
アーチェリーでは熱中症で倒れる選手が出てしまいましたし、テニスのジョコビッチは、日中の試合に異議を唱え時間変更を要求しました。25日のテニス会場では、7人以上のボールパーソンからも、体調不良となった訴えがありました。
招致時に立候補ファイルで「温暖でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」とした東京都の大ウソも罪深いのですが、開催時期については放映権料に支配されることが大きな問題です。
アメリカのテレビメディアの要請により、アメリカのフットボールリーグやアイスホッケーの開催が無い時期を選んだ結果が、この酷暑開催です。
更に試合時間まで、テレビ放映が重ならないように日中真っ盛りからの試合となっている事です。
「命より放映権料が大事」のIOCです。
●その3 オリンピック一色のテレビ欄
凄まじいのはNHK。総合もEテレもBS1も、揃って終日オリンピックです。
民放もテレビ東京を除きほぼ同様。
「(中止を求める声が多くても)国民がテレビで観戦すれば考えも変わる」と言ってのけた菅首相。
マスコミはここまで迎合せざるを得ないのか。こんな状態が17日間も続けば「オリンピック開催は当然」「菅さん頑張ったよね」の空気も醸し出されるのか。
このからくり、赤旗7月26日付は「NHKと民放キー局は、共同でジャパン・コンソーシアム(JC)をつくり、巨額の放送権料を払っているからです」としています。「われわれ民放、NHK、JCは高いお金を払って放送権を買って、放送に挑もうとしています」とはTBSテレビ東京オリパラ室長の弁。オリンピックに批判的な報道ができない訳です。
時期も時間帯も放映権に縛られるオリンピック。
赤旗は「五輪開催につき進んだことが、国民への誤ったメッセージとなり、現に人出は増えています」と。
私も実感しています。オリンピック強行の姿勢が示される過程で、街の緊張がゆるんでいくのを感じました。「飲食店時間短縮」に対する疑問や不満もそこかしこで。
●選手や競技の与える感動が大きかっただけに、オリンピックってそもそもどうなの? 組織委員会ってどんな仕組み?など、の議論はその陰で置き去りになりがちだったのではないでしょうか。
「感動」だけでは清算できない問題点が浮かび上がります。(2021.7.28)