●相模原市の田所市議から要請があって、大山議員とともに相模原の台風被害調査(私は視察というのが偉そうで使いにくく調査と言っているのですが、大山議員は逆に調査というのにおこがましさを感じると。難しいですねえ)に行きました。県議団としては直後にも行っているので二回目ですが、私はその時決算委員会があり参加できず、今回が初めて。
●今回は緑区に限っていますが、大変な状況でした。土砂崩れ・敷地や道路の崩落等々…潰されたままの家屋等がそのまま残っています。土嚢を積み上げ、かろうじてそれ以上の被害が起きないようにするにとどまっています。
相模原市全体で、亡くなった方が8人、負傷者3人。家屋等被害は329件、道路、田畑、がけ崩れ等その他の被害が847件に達します。
●最初に訪れたのは牧野(旧藤野町)赤沢地域。ついで新和田地域。
土砂崩れの凄まじさに言葉がありません。今回は、急傾斜地ではなく赤沢・新和田など森林もあるなだらかな斜面が崩れ(写真1)、しかも、直下だけではなく道路を超えたその先にまで達するほど勢いが強いのです。そのせいで被害が広範囲に及んでいます。赤沢では、ご夫婦が潰れた家の下敷きとなり、お1人亡くなっています。(写真2の左側のお宅。1階は潰れ、2階部分のみ)
●新和田地域の土砂の勢いは写真3と写真4を見比べるとわかります。写真3は被災前の風景。写真4が被災後、道路だけを確保した状態です。左側の石を積んだ壁、右側のガードレールが、跡形もありません。
また新和田では、土砂を直接浴びなかったお宅のお話も聞きましたが、そこでも被害がありました。道路の向いの建物が倒れこみ、家屋はぎりぎりで助かったものの、停電の際の過電流により電化製品が全て壊れてしまいました。東電に相談しても「うちも被害者なので…」で終わっているそうですが。
●名倉のあるお宅では、庭の一部が相模湖に崩落。景色がいいからと転居してきた生活が一変しました。(写真5)
このお宅では、相模湖と所有地の境に擁壁をつくることを要望していますが、どこまで可能なのか、と頭を抱えてしまいました。
●同じく名倉にある遊魚園も秋山川の増水で道路が削られてしまいました。このままでは車が入れず、トイレの汲み取りなどもできず営業が不可能です。機材等に被害がないため、補償対象ではないとのこと。(写真6)
●青根の「このまさわキャンプ場」は、道志川支流が道志川の増水により流れが変わったため、濁流に巻き込まれ、まさにキャンプ場自体が川と化しました。再開の見通しは立っていません。
●青根の土砂崩れも激しく、つぶれた家があちこちに残っています。一階部分が駐車場だったお宅では、車が潰されたまま今も建物の下敷きになっています(写真7,8)。
●青山では、串川増水により、橋が流され、家屋直前まで土地が削り取られています。
さらにこの近くでは、川に沿った道の崩落があり、不幸にも通りかかった車が呑みこまれ、4人のご家族が亡くなっています。(写真9;金網の先に見える青いところが崩落個所)
●どの現場も水と土砂の威力を思い知らされます。
また宿題・課題の多い調査でした。公道ではない道路や私有地の崩落をどのように補償できるか。湖やキャンプ場は境界線が定かではないところも多く、また用途からいっても擁壁で済ませるのも困難です。。
急傾斜地ともいえない斜面が崩れていくのには、どのような対策が可能なのか、森林政策も見直しが必要かもしれません。
その後の修復を少しでも進めるために、県当局と早急に相談したいと思います。(写真10)
●芸術の家にも立ち寄りました。ここは指定管理を経て、2017年度末で公の施設としては廃止となり、神奈川青少年協会に貸し出されています。台風時の避難場所ともなりましたが、休館日だからと避難者に退去を求め物議をかもしたところです。
木材を縦に埋め込んだ床は、歩く度に音が鳴り、気持ちがよい施設でした。時間もなく食堂以外は見ていないのですが、この素敵な施設を県が愛着を持って活用してほしいなと思いました。
思えば、神奈川県は、自らの財産を潰しまくっているなあと、またまた悔しく悲しい気持ちになりました( 写真11 )。 (2020.1.29)