●2014年8月川崎市教育委員会は、現場の教師が推す高校教科書を排除する教科書採択を行いました。高校教科書は、小・中学校の採択方法とも違い、現場の要望を尊重(そんちょう)するのが通例でしたから、極めて異例の出来事でした。
9月市民二人が、その時の会議録音テープの開示請求をしましたが、川崎市教育委員会は拒否処分。しかも請求時にはあったテープを請求後廃棄したという事がわかりました。
この市民の知る権利を奪う違法行為に対し、二人の市民が損害賠償請求を川崎市に対し行っています。その中間の報告会が15日行われました。
●新婦人(新日本婦人の会)の活動などを通じ、教科書採択を注視してきた私は、川崎市の教育委員会に一定の信頼を寄せていました。他市などと比べて子どもの立場に立つ、保護者の声に耳を傾けるという姿勢があると思っていたからです。
ところが2014年の対応には驚きました。しかも開示請求に関わる一連の動きはブラック過ぎました。そんな訳でとても気になっていた事件です。
●2014年10月消去と説明されていたテープが、実は2015年9月まで存在し、9月18日に調査を行うとの連絡を受け、9月14~17の間に消去。この経過から考えられるのは、テープに残された内容が市民に開示されると困るからという事でしょうか。議事録に改ざんがあったのでは、等の疑念も示されています。
音声データが公文書に当たるか否かも改めて問題となっています。
2017年2月から始まった裁判、第4回目が9月28日に行われます。
●15日は、この裁判経過の報告とともに原告二人の思い、そして現場の判断を不当に否定された市立高校の先生からの報告がありました。どこにおいても良心と人間の尊厳をかけた闘いは続いています。
私は裁判の経過とはまた別に、それぞれのお話しを聞きながら、「子どもや学校教育をめぐり、粘り強く自らの人生と重ねている人たちがこんなにもいる」と感動を覚えていました。
●それにしても、国も、横浜市教育委員会も、川崎市教育委員会も情報管理がひどすぎます。過失というよりは「都合が悪いから廃棄してしまえ、あるいは廃棄したことにしよう」が頻発しています。情報は担当者のものではありません。情報管理のあり方を正さなければなりません。(2017.9.15)