●県内共産党議員の研修会で、藤野保史前衆議院議員(能登半島地震被災者共同支援センター責任者)による「能登半島地震の現場から~被災者支援と復興の課題」と題した報告がありました。
●<なぜ復興が遅れているか>
*石川県は、防災計画を27年更新せず
*国はプッシュ型支援を3月で打ち切り、全国からの応援職員派遣を縮小
・県庁への派遣1月末約300名→6月末約40名
・6市町向け派遣1月末約500名→6月末約30名
*県知事は被災者に「自立」を求め、上からの「創造的復興」を押し付ける構え、「国防と一体的に」発言など
*復興大臣は、復興の在り方について「できる限り集約化を」
*財務省「コストを念頭に」
*政府は補正予算を組まず、予備費での対応
*県は、政府備蓄米の提供を求める声に対しても背を向け、「スーパーで買える」との対応
●<これらを受け、現在の状況>
*避難所の環境改善されず、ジェンダー視点も無し
*要支援の高齢者など5,483人、壊れた自宅で生活
*ばらばらにされる被災者、被災者の状況が共有されず
*「平成の大合併」など自治体体制が弱体化しているため、被災者に寄り添えず
*公費解体の申請数2万5,214件に対し、解体実施数2,175件、完了率9%
●<この状況から>
*能登半島地震復興基金の創設
*切実な要求を取りあげ(国保税の減免実現・高速料金無料化を継続・みなし仮設のエアコン設置補助・駐車場の障がい者マーク設置・仮設住宅集会所の電気料金を県負担に 等々)
*国会で党議員求めた結果、「配食サービスを市町村と連携し提供」と防災大臣
*党議員団が政府備蓄米を求める中で、県備蓄米の放出へ
●<今後への提案>
*建物ではなく人に着目した「災害ケースマネジメント」を
*防災安全交付金増やせ(2021年度の防災・安全交付金1兆2786億円は、地方要望の7割にとどまる)
●<原発は>
* 志賀原発近くの活断層は北陸電力想定(96キロメートル)の1.5倍以上の約150キロに及んでいる(地震調査委員会)
* 志賀原発のトラブル(油漏れ多数・燃料貯蔵プール水の飛散・純粋タンク水位低下・冷却水漏洩・取水槽内の海水面の上昇等々)
・外部電源の喪失は今も続く(修理に必要な部品の在庫なし)
・2万リットル超える油漏れ(大火災の一歩手前)
・放電によるアークでブッシングの一部破損
* 志賀原発30キロ圏内で32か所の通行止め、14地区、150人が16日間孤立
* 道路陥没・土砂崩れにより避難できない。ヨウ素配布やスクリーニングもできない
* 想定避難先も被災地で避難できず
* 原発避難計画は「屋内待機」、津波警報は「逃げろ」
* 2メートル~4メートルの隆起各所に
* 隆起により取水口破損、原発冷却が不可になる恐れ
* 再稼働どころか増設めざす自公政権(原子力産業協会会員企業から10年間で70億円超の自民党への献金)
* 石川県には志賀原発以外に4か所の建設計画があったがいずれも中止させた(珠洲原発計画地にも異常な隆起が延々と続いている)
●復興の遅れの要因がわかるような気がしました。政府は本気で復興させようとは考えていないと思います。いわゆる「過疎地」は切り捨てようとしているのではないかとさえ思わせました。
「集約化」と言いますが、暮らしは場所と切り離すことができません。簡単に集約などと言える対象ではありません。また切り捨てによりそこに暮らす人を追い出し、無人の地域をつくり出すことは、国土を荒廃させます。この国の権力者の軽薄さを思い知らされます。そのベースに乗っかる馳知事の情けなさ。
原発については、これまでも度々言ってきましたが、日本に原発を造って良い場所はありません。私は日本に限らず、人間がコントロールできない原発は一切葬り去るべきだと思っていますが。
珠洲原発はじめ4か所の設置計画をやめさせたことは、日本を救ったと思います。(2024.8.19)