●「君嶋ちか子のお仕事トークセッション」と銘打ったつどいを行いました。
この日(28日)は、参加者の抱えている状況を出していただきながら、現在の日本の働かされ方の由来や問題点、またそれらにどう対応していくかなどについて、話をさせていただきました。
●Iさんは、上司のセクハラ・パワハラを機に「適応障害」の診断を受けるような状態になりました。その後医師からは「復職可能」の診断を受けたにもかかわらず、会社は復職を認めず無給状態が続いています。
企業内の労働組合に相談しても、全く取り合ってもらえず「労働基準監督署に行きなさい」といわれる始末。幸い、ある産別の組合と繋がることができ、その仲間に支えられながら職場復帰の闘いを進めています。
Nさんは、通信関係の職場です。派遣期間の途中で契約解除された仲間のことが気がかりで、何とかできないかと思い参加したといいます。その本人は諦めているらしいのですが、こんなことが通用するのかと。
Mさんは、慢性的な残業が続いているのに更に人がどんどん減らされていく状況にため息をつきながら、何とかならないのか、と。午後11時までの就業が珍しくないそうです。
●何故、こんな無法がまかり通る職場が多いのかと問われ、私は自らの職業安定所勤務時の経験を通して語りました。
小泉政権下で、派遣労働を「原則可能」としたことが大きな役割を果たしてしまったと思います。その後製造業まで「派遣可能」としたことにより派遣労働者は一気に増えました。
これが2008年のリーマンショック時の大量の派遣切りに繋がっています。
これらの経験は、企業に「雇用リスク」という概念を定着させ、正社員どころか雇用そのものを否定し、レンタル商品の如く派遣労働者を多用する現象まで生み出しています。
これらは「ブラック企業」や「パワハラ」が横行する「労働者を人間として扱わない」土壌ともなり、派遣労働に限らず雇用全般を覆っています。そこに採算性重視・利益至上主義が加われば、過酷な現場が必然となります。
●不当な扱いとどう向き合うのかという点では、行政機関への相談・訴えとともに、労働組合として闘うことが必要とお話ししました。
一人で立ち向かうことは、その方法も含め大きな困難が伴います。また行政機関も「法律の具体的な根拠が認められる範囲」という限界を抱えます。そこを超えられるのが労働組合です。労働組合のない職場が多いでしょうが、単一企業に限定されない組合もあります。そこにたどり着きながら、不当な攻撃に呑みこまれない取り組みをすることは貴重です。
悪辣な攻撃を結果的に認めてしまえば、ブラック職場はますます増殖します。
Iさんは、精神的にも経済的にも困難を極めていますが、「でたらめが通用すると思わせたくない、こんな攻撃にさらされるのは自分が最後にしたい」という思いが、この職場を簡単にやめない理由だといいます。
●このような人たちと手を結びながら、人間らしく働ける日本社会を目指したいと思います。個別の現場での頑張りとともに、政治の力が必要なことを私は強調しました。日本の働く場の荒廃を変えていくのには、法律とともに政治が利益至上主義の流れを切り替えていかなければなりません。
引き続く取り組みが必要です。(2018.1.28)