君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
働く場と学ぶ場に希望を!
神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

医療ツーリズム何が問題か、葵会の計画は

2019年1月31日

●川崎市市政研究会の主催で、医療ツーリズムに関わって学習会が開かれました。
医療ツーリズムの定義は、医療検査・診療を目的として来日することです。この点から医療ツーリズム自体は、神奈川県も多くの団体も否定していません。
いま問題となっているのは、医療法人葵会が2018年9月に発表した計画です。自由診療による100床の外国人専用病院を川崎区に開設しようとしています。

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●この計画については、神奈川県・川崎市・県及び市の医師会・県及び市の病院協会・県保険医協会等多くの関係機関から、懸念が示されています。
懸念の主な内容は、以下の通りです。
 ▼外国人に特化した病院は、国民の健康保持を目的とした医療法の趣旨になじまない。
 ▼川崎南部は第二次医療圏において「病床過剰」地域とされている。当病院も病床数にカウントされ、地域病床数をさらに圧迫する。
 ▼医療従事者不足を加速化させる。

●この受け入れをめぐる法的問題は以下の通りです。
 ▼病院の開設申請がなされた場合、営利を目的とする場合を除いて、構造設備・人員要件に適合すれば、都道府県・政令市(本件においては川崎市)は許可しなければならない。(医療法第7条)
 ▼医療過剰地域である場合は、都道府県は、開設を行わないよう勧告することができる。(医療法第30条)
 ▼勧告を受けた場合、医療法人等は、保健医療機関の指定を受けることができない。(健康保険法第65条)通常はこの点が抑止力となるが、自由診療のみの場合は作用せず。

●神奈川県議会においては、全会一致で「医療ツーリズムの健全な発展と地域医療の確保に係る国の総合的な取り組みを求める意見書」を提出しました。要望事項は次の通りです。
 1.病床の開設が無秩序に許可されないよう、病床規制に係る医療法の一部改正など必要な措置を講じること。
 2.医療ツーリズムについて、国が責任を持って、総合的な観点から国民的コンセンサスを形成し、法令等の整備も含めたガイドライン等のルールを構築すること。

●因みに葵会は、県立神奈川リハビリテーションセンター内の七沢リハ病院を「回復期病棟」とすることを条件に県から譲り受けましたが、基準医師数が少ない「療養病棟」として準備していたため、開設に至っていません。「一年以内に一般病床に転換する」ことを条件に開設許可が出ています。現在は履行準備中に当たります。

●この日の学習会では、保険医協会桑島医師、県の状況について君嶋、市の状況について渡辺学市議から、それぞれ報告を行いました。
私は、県と県議会の動向に限り報告しました。それでも私見を交える必要がないほど、問題点は明らかになったと思います。
説明では、医療ツーリズム全般と今回の外国人専用病院開設との違いは、強調しました。
今後「営利目的」の解釈が問題になると思います。より多くの住民にこのような病院設置の問題点とその影響を知らせていかなければなりません。(2019.1.25)

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