君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
働く場と学ぶ場に希望を!
神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

一般質問 (2018.2.21~第一回定例会)

2018年2月23日

最初に 神奈川県国民健康保険運営方針について伺います。

【第一に、法定外繰入金についてです】

神奈川県国民健康保険運営方針には、「決算補填等を目的とした法定外繰入は、本来国保の被保険者の保険料から賄うべき費用を広く住民全体から徴収しているものであり、削減すべき」との記載があります。これについては見直すべきです。

国民健康保険は、国民皆保険制度の土台ともいえますが、所得の少ない人が多く、社会保障として成り立たせるためには、公費の投入が避けられません。国の責任も第一義的に問われます。

国は今回、計3,400億円の財政措置を講じましたが、十分ではありません。全国知事会は、保険料率引き下げのために一兆円の国庫負担の増額を求めています。

この状況で、決算補填等のための法定外繰入を否定するならば、保険料負担増が懸念されます。

昨年の日本共産党の代表質問に対して、「法定外繰入については、市町村判断に任せる」との答弁がありましたが、今回の「削減すべき」との記載は、この答弁とも矛盾します。また、運営方針の中でも、保険料算定方式や賦課割合などについて、市町村が決定するとしました。法定外繰入についても、同様の扱いとすべきです。

そこで知事に伺います。市町村方針に大きく影響する運営方針に、決算補填等を目的とした法定外繰入れを「削減すべき費用」と明記することは、社会保障としての国民健康保険制度の役割を困難にするものであり、見直すべきと考えます。知事の見解を伺います。

【次に、医療を受ける機会の保障についてです】

切実な問題の一つとして、短期保険証・資格証明書の問題があります。

国保運営方針には、資格証明書発行の際には、特別の事情の有無の把握をすること、また「通院または入院の事実により、一部負担金の支払いが困難である旨の申し出があった場合には、特別の事情に準ずる状況と認定する」と明記されました。医療を受ける権利の確保という点で、一定の前進が期待されます。

今後市町村において「特別の事情」の確認が確実に行われ、医療費が10割負担となる資格証明書の発行に至らせない努力が行われているか、県として把握する必要があります。

また、短期保険証の交付基準や期間などの取り扱いは市町村によって様々であり、短期保険証の未更新(いわゆる留置き)が、かなりの数に上る市町村もあります。これに対しても医療を受ける権利の保障という点から、解消を市町村に働きかけることが必要です。

そこで知事に伺います。保険料が払えない人に、被保険者証が届かないことは、重篤化や命を奪うことに繋がります。資格証明書発行の際に「特別の事情」の確認を的確に行うこと、また短期保険証の期限が切れる前に更新を速やかに行うことが必要です。この二点についての認識を伺います。

二つ目に 県立高校改革について伺います。

【第一に全日制進学率についてです】

2000年から始まった前回の高校改革では、全日制計画進学率「93.5%」が示されていました。今改革では計画進学率は示さないという事ですが、2017年度は90.7%で、計画進学率に及ばないだけではなく、前年に比べても減っています。

2015年に「県立高校改革基本計画」が策定されました。その期間は、2016年度~2027年度の12年間で、20~30校の県立高校の削減が計画されています。

計画終了の2027年の県内公立中学校卒業者は、2015年3月末に比べ6,315人の減少が見込まれています。この数字に、2015年度調査による県内県立高校進学割合を当てはめると、県内県立高校進学者は3,571人減少することになります。これは7学級280名定員とすると、約13校分に相当します。約13校分の減少予測に対し、県立高校20~30校削減計画は、明らかに更なる県立高校不足を招きます。全国最下位に近い全日制高校進学率をさらに引き下げることは必至です。

「県立高校改革実施計画(全体)」で、「全日制進学率の向上を図るため、必要な定員数を確保」するとしながら、一方で大幅な高校削減計画は理解に苦しみます。

そこで教育長に伺います。前回の高校改革で示した計画に及ばず、低い進学率にとどまっているのが神奈川県の現実です。この背景・要因をどのように分析していますか。またどのような方法で高校進学率の向上を図ろうと考えているのか、併せて伺います。

【次に全日制中退数についてです】

「平成28年度神奈川県児童・生徒の問題行動等調査(速報値)」によると、公立高校全日制中途退学者数は、2016年度1,400人で、前年度より273人増え2010年以降で最多となっています。2014年度1,126名、2015年度1,127名に比較しても増加が目立ちます。

また、公立高校全日制長期欠席生徒数も、4,445人と前年度より618人も増加しています。

なお、中途退学者数は、定時制については838人、通信制については618人です。合わせて2856人の中途退学者数は深刻です。

この調査は、「1学年での中途退学者が多い」「進路変更や学校生活・学業不適応等の理由により中途退学している生徒が多い」と指摘しています。細分化・特化された県立高校改革が、入学した生徒の思いとかけ離れ、進路変更もままならなず退学に至っているのではないかと危惧されます。

そこで教育長に伺います。この顕著な中退者や長期欠席者の増加は、なぜ生じていると考えますか。またそれについての対策はどのように行われているのか併せて伺います。

【次に、高校規模・学級数及び一学級生徒数についてです】

今回の改革では適正規模の目安を設定していませんが、従来は1学年6~8クラスを標準としていました。

全国的には4~8クラスを基本としている県が多くなっていますし、都立高校校長協会は「学校大規模化は教育条件の悪化」に繋がるとの声明を出しています。現場の先生からも、体育館の利用、全校的行事などを考えても6~8クラスが限度と聞いています。

学校数削減により、さらなるクラス数の増大・学校の大規模化を招くことは、避けなければなりません。現在でさえ、高校規模が全国で2番目に大きい神奈川県です。

一クラスの生徒数についても、実例を通した指摘があります。現在、クリエイティブスクールについて、先生方から一様に評価されている点は30人学級です。行き届いた指導が可能になっているといいます。30人学級を他の高校でも実施してほしいとの声が出ています。

そこで教育長に伺います。少人数学級と学校の適正な規模は、学びの機会を保障するために確保されるべきです。そのためにも、高校数の削減は行うべきではありません。これについての認識を伺います。

【次に、生徒の多様性を保障する教育についてです】

 特色を強く打ち出し細分化された高校が、多様性の名の下に県下に散らばっています。しかしながら、これは生徒の多様性を保障するわけではありません。

15歳で自分の適性を見極め、極端に特化・細分化された高校を選択することは容易ではありません。多様化と称して高校に無理な特色づけを行うことが、生徒の適切な選択を逆に困難にしています。

また、仮に適切な選択が成り立ったとしても、その特色を有する高校は、広範な地域に点在していますから、交通費や通学時間等の制約もあり、通えるとは限りません。

多くの生徒は、中学校卒業時はまだ先を見通せず、入学後も成長・変化していきます。その変化に対応できるのは、極端に特化された高校ではなく、多様な生徒が学び、かつ一定の選択の幅がある高校です。

さらに問題は、この特化が格差を拡大させ競争教育を激化させることです。学力向上進学重点校をエントリー校として指定し、その成果に基づき、新たな指定を行うとしています。一旦指定を受けた高校が、指定を維持するためにどんなことを繰り広げるかは、想像に難くありません。

「計画」では理数教育推進校やグローバル教育研究推進校を指定し、さらに文部科学省のスーパーサイエンススクールやスーパーグローバルハイスクールを目指すとされ、ここにおいてもその指定を受ける為に、生徒の状況を無視した教育が行われることを否定できません。

これらは予算配分や教育条件の整備という点でも、他の県立高校との公平性を大きく損ねます。

県立高校改革のうたい文句が想定していない、生徒の貧困、将来に悩む姿、入学後、期待と現実の乖離でやめていく生徒、等の現実を直視すべきです。

文部科学省の政策や高校改革の言葉を先行させるのではなく、地域に根差した県立高校として、生徒の現実に教育は寄り添うべきです。

そこで教育長に伺います。適正な学校規模を保ち、少人数学級により、教師の労働条件も確保しながら、教師と生徒が十分向き合える環境をつくる、このような環境整備が県と教育委員会の仕事です。そこからそれぞれの生徒は適性を探り出し、飛躍していきます。確かな学力をより多くの生徒に培うことも可能となります。

無理な特色づくりを行うのではなく、全ての生徒にこのような教育環境を保障すべきと考えますが、その見解を伺います。

三つ目に 津久井やまゆり園の運営等について伺います。

【第一に津久井やまゆり園再生基本構想についてです】

津久井やまゆり園再生基本構想においては、「130人すべての利用者が安心して安全に生活できる入所施設の居室数を確保する」とし、「意思決定支援には数年単位の期間を要することから」「設計段階においては、千木良地域及び芹が谷地域何れについても、意思決定支援の状況に応じて施設規模を選択できるように設計する」としました。また、2017年9月からヒアリングを開始し「2年程度を経過した時点での利用者の選択の傾向を踏まえて入所定員を判断する」としています。

昨年11月の千木良・芹が谷の施設をそれぞれ88人の規模で設計するとの発表後、「希望する場所に住めるのか」という不安の声が寄せられています。

改めて、構想通り希望に応じた居住先が確保されることを確認したいと思います。

そこで知事に伺います。一方の施設希望者が88人を超えた場合にどのような方法でその希望に応えるのか、方向性を示す必要があります。

基本構想で示された「意思決定支援の状況に応じて施設規模を選択できるように設計する」という考えは、どのような形で確保されるのでしょうか。その見解を伺います。

【次に、現在の津久井やまゆり園の状況についてです】

事件後、夜勤の二人体制を確保するようになったことは前進ですが、一方で日中体制がしわ寄せを受けているとの指摘があります。支援体制は常に余裕がないと別の方からも聞いています。

職員数については、利用者数減少があるとはいえ、2016年7月1日164名に対し、2018年1月1日現在120名と減っています。また職員の離職・転勤数は2016年度27人ですから、入れ替わりも少なくありません。

また、しばらくぶりに利用者の姿を見て、明らかに以前より痩せている人が多くて驚いたと、元利用者家族及び元スタッフの方が心配していました。

 事件以降に亡くなった方が多いとの話もあり、確認したところ5人の方の病死が報告されました。詳しい状況は把握していないとのことですが、長い間関わってきた方は「1年半の間に5人も!」と驚きを隠しませんでした。

 これらの状況から窺えるのは、職員も利用者も大きなストレスを抱えているのではないかという懸念です。事件により突然悲惨な状況に投げこまれ、転居、慣れない場所での生活、比重を増した意思確認など、嵐のように過ぎたこの一年半を振り返れば無理もありません。

 超過勤務の支払いが十分ではないという話も聞きました。

 職場に問題があっても、労働組合がない職場で、個人が公然と声を上げることは容易ではありません。また、指定管理者も運営上の問題を容易には施設所有者に明らかにはできません。いわば現状では、問題を率直に提起することは困難な構造にあるといえます。

 障がい者を支える仕事の大変な実態については、以前から私も問題としていますが、支援施設職場の過酷さが事件を生み出した一つの要因ではないかとの指摘は、少なからず存在しています。事件後、その過酷さが一層増していることも考えられます。

 これらの特異な状況は、「指定管理者制度だから、把握できない」として見過ごすわけにはいきません。

施設所有者である県が利用者と職員の実態に寄り添い、必要な支援を行う責任があります。

そこで知事に伺います。現在の勤務体制と賃金の支払い状況のリアルな実態把握を県が行うとともに、利用者・家族の不安に応えるには、より充実した体制と対応が必要であると考えますが、その見解を伺います。

四つ目に 加齢児受け入れの体制について伺います。

障がい児施設で18歳を超え、加齢児としてそれまでの施設に入所しているケースがあります。今年4月には経過期間の終了により入所施設を出ることが求められていました。それが進まない中で、さらに33年3月末までは入所を可とする措置が示されました。しかしながら、加齢児の場合給付費が低くなることもあり、障がい児施設が必ず受け入れるとは限りません。今も、入所先の確保が切実な課題であることに変わりはありません。

このような経過の中で、現在、ある障がい児施設にお子さんが加齢児として入所している方から「相談しても県外の施設を紹介されるばかりで、県内については対象とされていない。面会などを考えても、是非県内の施設で受け入れてほしい」と切実な声が寄せられています。このお子さんは強度行動障害があり、現状では、グループホームなどの対応は困難だろうと訴えていました。

2017年12月現在、加齢児として入所している方は、県所管域施設で48名という事です。一方、県立障がい者支援施設の定員682名に対し、在籍は619名にとどまっています。

そこで知事に伺います。障がい者支援施設における受入は、障害特性等の配慮が必要であり、数だけの問題ではないことは承知していますが、県立施設の空き状況を踏まえた入所調整など当面の受け入れ態勢を整えることは喫緊の課題です。また、引き続き一定数の加齢児は必ず見込まれるわけですから、今後の明確な県内受入方針が必要です。この二点についての認識を伺います。

最後に ヘルスケア・ニューフロンティア政策について伺います。

【第一に、未病の捉え方についてです】

 未病については、数年にわたり言葉の普及を目的としたかのような取り組みが続いています。しかしながら、神奈川県のこの用い方は、漢方の語源から言えば誤りとの指摘もあります。

 また、この言葉が使われている場面でも、わざわざ「未病」という言葉を用いなくても説明できる場合がしばしばです。健康増進・健康づくりのための国や市町村のこれまでの取り組みに、あえて未病という概念を持ち込み、経費や労力を必要以上に費やし、かつ県民や市町村に戸惑いを生じさせています。

 マイ未病カルテを初めとして、現在までに形作られている医療に関わる仕組みとは別の流れを持ち込むことは、無用な混乱を生じさせるとの懸念もあります。

 さらに問題なのは、健康状態の把握などを自己診断に頼らせがちなことです。誤った自己診断による治療の遅れや感染の広がりを招くのではないか、との警告が専門家からなされています。

 この事業には、開発された医薬品などを購入して初めて恩恵が受けられるというものが少なくありません。住民にサービスを、無償或いは低廉に広く保障するという行政の役割とは逆の仕組みです。

 未病については、県民、また医療や公衆衛生など現場の意見がどれほど反映されているのか、またこのような用い方を誰が望んでいるのか甚だ疑問です。

そこで知事に伺います。「未病の改善」というわかりにくい言葉の使用はやめて、現に機能している国・市町村の取組と連携を強め、保健予防・介護予防・健康増進などに、とりくむべきと考えますが、その見解をうかがいます。

【次に、最先端医療等を県が優先的に後押しすることについてです】

ヘルスケア・ニューフロンティア政策の主な柱として掲げている未病の項目では、「未病産業研究会を軸に、未病改善のための商品やサービスの普及・拡大」、最先端医療・最新技術の項目では、「関連産業の集積促進」、さらに国際展開の項目では、「県内企業の国際展開を支援」などと掲げています。まさにこの政策が医療ではなく産業政策と言われるゆえんです。

自治体の産業政策としては、現存する地域産業へのバランスが取れた支援が必須です。最先端医療・最新技術がことさら強調されているこの政策は、県内産業を見渡した時に対象があまりに狭いといわざるを得ません。

この狭い範囲の産業政策としての有効性も問題です。

アメリカと日本を拠点に研究を進めている再生細胞医療の研究者に事情を聞きましたが、日本の水準は世界のトップクラスにあるという事です。再生細胞医療については、軟骨や表皮などのシンプルなものから、血管・神経・機能などを有する高度な肝原基などで事情は異なるといいますが、基礎研究段階はほぼクリアし、問題は応用段階とのことでした。この段階では、研究機関と企業との連携になりますが、リスクを抱えながら行える企業は少なく、研究費補助が必要とのことでした。

しかし、貴重な医療研究や開発の成果は、一自治体ではなく、広く国民に還元されるべきものです。またそのリスクを考えても、住民の暮らしを支えることを優先すべき自治体が、真っ先に手がける対象ではありません。医療の研究開発は、国が責任をもって支えるべきです。

神奈川県が行おうとしているのは、主に場の提供とのことですが、これが研究開発にとってどの程度有効かは、明確ではありません。

このように、最先端医療の研究・開発は、自治体が行う事業としては少なくない問題点が指摘されるところです。

ちなみに2016年度決算では、事業費約20億円の内,約14億円近くの政策局所管事業は国庫負担なしで、県単独に推し進めています。

そこで知事に伺います。この事業の多くは県単独に予算が組まれています。命や暮らしにかかわる切実な課題があっても、他の分野には容易に県単独の予算が認められない中で、ヘルスケア・ニューフロンティア政策の柱でもある最先端医療・最新技術の取組を、これ程優先的に行う根拠は何でしょうか。見解をうかがいます。

【次に、ヘルスケア・ニューフロンティア政策の見直しについてです】

2013年から、年を追い拡大してきたこの事業は、2016年度で64人を擁し部長以上を7人も配置する組織となり、人件費も5億円近くに及びます。

 内容的にも、今まで述べたように、自治体として県民に広く施策をいきわたらせるという考え方ではなく、限られた人がサービスや商品を購入するという仕組みです。また最先端医療など、自治体としてどこまで支援すべきかという問題もあります。

 自治体の仕事としての正当性が問われるこの事業に、これだけ多くの力が割かれていることは、他の部署へのしわ寄せなどが懸念されます。

そこで知事に伺います。自治体行政として優先すべき事業が何であるかを、より県民の暮らしや健康などの実態に添って見直すべきです。健診・学校給食・医療費無料化・介護予防促進への補助等の強化、及び子どもの貧困化を初めとした生活の困難に対する自治体としての具体的支援こそ必要です。その点から、ヘルスケア・ニューフロンティア政策とその組織については見直すべきと考えますが、見解を伺います。

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